日本の仏教を読み直す
空海・道元・親鸞
インド・チベットの伝統を踏まえて
現在の日本では「仏教の教義」とか「〇〇宗の教義」ということがいわれますが、宗教=教義に従うものというのは西洋の一神教をモデルとした宗教の捉え方で、仏教は本来、教義に従う教えではありませんでした。インドでは、仏教は医学的な発想の教えとみなされ、症状にあった薬を処方するようにその人に合わせて教えを説いたと言われています(対機説法)。日本と同様密教の盛んなチベットの仏教が世界の関心を持たれている今、インドやチベットに残る伝統的な仏教理解や学習法を踏まえて、日本の高僧の教えを読み直し、高僧がたが何を説こうとしたかについて光を当てる試みです。
はじめに
第一章 インドにおける仏教の誕生と展開
1 仏教誕生の背景
2 釈尊がさとりに至るまで
3 最初の教え――四つの真理(四聖諦)と実践法としての八正道
4 さまざまな弟子への教え
5 インドにおける仏教の展開――南伝と北伝、ナーガールジュナ(龍樹)の仏教理解
6 伝統仏教の理解と実践の方法
7 インド・チベットの教え
第二章 空海と密教
1 空海(七七四~八三五)の生涯と教え
2 密教と顕教
3 密教の系譜
4 十住心――伝統仏教の全体像
5 菩薩の願い
第三章 道元と坐禅
1 道元(一二〇〇~一二五三)の生涯と教え
2 坐禅とその系譜
3 道元の仏教観を大きく変えた二人との出会い
4 『弁道話』――中国で学び得たことの紹介
5 言葉と言葉を超えるもの
6 晩年の十二巻本『正法眼蔵』
第四章 親鸞と浄土信仰
1 親鸞(一一七三~一二六三)の生涯と教え
2 近代化と『歎異抄』ブーム
3 「他力本願ではダメ」はダメ?――伝統仏教における浄土の位置づけ
4 他力の信のむつかしさ
5 どのようにして他力の信が得られるか――「悪人」であることの自覚
6 『教行信証』の構造――真実(智慧)と方便
7 ナーガールジュナ(龍樹)の仏教理解と親鸞
8 妙好人―阿弥陀仏の救いを実感した人たち
おわりに
出版社
北樹出版
発売日
2025/7/26