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チベット仏教入門:

自分を愛することから始める心の訓練

チベットの仏教はいま世界的に深く浸透しつつある。とくにその生と死の教えに関心が向けられている。チベットの伝統は古い形の仏教を残しており、それが現代の諸問題に対応しうるものとして大きく注目されているのだ。・・・読者を、チベットに今も残る仏教の豊かで深い心の世界へと誘う。​

出版社

​筑摩書房

​発売日

​2018/11/5

序 なぜ世界でチベットの教えが関心を持たれているのか?

一 チベットの仏教の歴史―日本との対比

二 仏教の要点

三 伝統仏教学のすすめ

四 ラムリム(菩提道次第)とロジョン(心の訓練法)―仏教の学習と実践の心髄

五 仏教の実践

六 密教入門

七 私のチベット仏教体験―旅の思い出

書評・レビュー

■『チベット文化研究会報』 2019年1月号/『チベット仏教入門』書評(小川康)より転載

“NINJA、 GEISYAなど外国で語られる日本文化に日本人ならば少なからず違和感を覚えるように、異なる伝統文化は多かれ少なかれ変容を伴って紹介され、無自覚のうちに概念は硬直化してしまう。したがって変容が起きた時期、原因などを言語化し明らかにすることで硬直は解きほぐされ、建設的な対話が可能になる。事実、私は本書の原型となった本誌連載「教えに基づく仏教入門」「仏教あれこれ」を愛読するとともに、折に触れて講演会や文章中に引用することで、たとえば「医療と仏教の関わり」に関する議論を深めることができた。特に禅を巡る議論が参考になった。その他、マインドフルネス、ポア、ゾクチェンなどに関して、チベットにおける原義とともに、日本における変容の過程を詳述することで「こういうものだ」という概念に緩やかに揺さぶりをかけていく。 本書は仏教書として情報量が豊富なわけではない。柔らかい文体ではあるが平易な内容ではない。原題どおり「あれこれ」な展開ともいえる。しかし、読了後に突き動かされるような感銘を受けたとともに、かつて10年間暮らしたチベット社会の空気感が明瞭に蘇ってきた。それは著者の「基本的に私の考えではなく、様々な師から受けた教えに基づいています」という終始一貫した姿勢とともに、オウム事件など日本社会に対する著者のまっすぐな身体性が具わることでチベット仏教の原理的な性質、すなわち「言葉を越えていく力」が本書に引き継がれているからではないだろうか。仏教を本格的に学ぶにあたり最高の入門書と出会うことができた。(小川康)”

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